細胞は自家蛍光と呼ばれる自然なレベルの蛍光を有し、これはフローサイトメトリーデータ解析において問題となることがあります。 細胞の自家蛍光は、コラーゲンおよびエラスチン、NADPHおよびリボフラビンなどの環状化合物、芳香族アミノ酸、およびミトコンドリアやリソソームなどの細胞オルガネラの存在に起因します。 細胞内の蛍光レベルは、蛍光を生じるこれらの細胞性化合物および細胞小器官のレベルの変動のために変化することがあります。 一般に、より大きな細胞およびより顆粒状の細胞は、蛍光化合物がより多く含まれるため、自家蛍光が増加します。
大部分の自家蛍光は、より短い波長である最大吸収350~500nmで励起され、350~550nmで蛍光を発します。 これは、488nmレーザーで励起され、FITC同様の範囲で蛍光を発する多くの化合物を含む哺乳動物細胞に特に顕著です。 シグナル/ノイズ比(SNR:Signal to noise ratio)が低下して感度が低下し、偽陽性が検出されやすくなるため、これらの波長領域では自家蛍光が問題になることがあります。 さらに、他のチャネルへの自家蛍光の漏れ込みは発現量の低いものを隠してしまうことがあります。
自家蛍光のレベルは、無染色コントロールを用いて決定することができます。 より長い波長側では自家蛍光が少なくなるので、600nmを超える蛍光を発する蛍光色素は自家蛍光の干渉が少なくなります。 非常に明るい蛍光色素を使用することでも自家蛍光の影響を低減することができます。